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トップページ > アニメ関連 > 崖の上のポニョ観てきました

 崖の上のポニョ観てきました
宮崎さんの崖の上のポニョを見てきました。ネタバレですのでご注意ください(^^;)



率直な感想としては、私は良かったです。良かったんですが後半からラストがやや微妙(^^;)お話の展開も作画も中盤までのパワーのほうが凄かったように思いました。

まずそもそも私は宮崎さんは、理屈よりも感性でものを作ろうとしている人だと思っていて、むしろ理屈で進めるのを嫌がっているような感じを受けています。なのでとにかく感性に響く面白さ、楽しさ、可愛いとか、これ気になる、みたいな色んなことを盛り込んで映画を作っている人だと思います。

そういう意味で私の中では宮崎さんは作家というよりはアニメーターです。アニメーターというのは止まった絵を動かして生を作り出すことによって面白さや感動を作る人たちなので、宮崎さんの映画は整然とした話で語ってどうのこうのではないんじゃないかと思います。今回も本当にそう思いました。ポニョはさらにあえてファンタジックにデフォルメして表現してるんですけど。あとは高畑さんとか押井さんの影響も多少あるのかなと思わなくもないですけど(^^;)

最初に冒頭で思ったのは、海の中の描写、生物の量もそうですけど特に海の水の描写が異常に意欲的でした。描きすぎ動かしすぎ(^^;)これは最後までそうだったんですがとにかく物量によるインパクト、魚とか波とか虫とかキモい集団行動の描写がいっぱい(^^;)作画ほんとに凄いです。よくやるなあという(^^;)同時に、出だしはお話としては少し掴みは弱いかなあと思いました。まあ絵的な凄さで圧倒されてるんですけど、例えばポニョが何したいのか、何を望んでるのかがわからなくて、ただなんとなくクラゲに乗って海面まで上がってったくらいの感じでした。タイトル出た時もなんとなく始まっちゃったなあという印象。作画は充分凄いんでそれが掴みといえば掴みなんですけども(^^;)

ポニョが海底の世界で絵本やテレビとか、前にチラッと人間を見かけたことあるとか、父親の過去話の影響とか、なんでもいいんですが、ポニョが地上や人間に対して興味もってる設定があってこの子は地上に行きたいんだなあという実感があれば良かったと思うんですが、ほとんど無意識にしか感じませんでしたね。ただポニョは最初が無意識で徐々に成長していくシークエンスがあった感じがするのでそことの兼ね合いが難しかったのかもわからないです。

そして海中のクラゲとか海洋生物満載の描写と、地上の浜に近づくと人間が原因で海が汚れている描写のコントラスト。作画も含めてわかりやすくて素晴らしかったし、ポニョが網に巻き込まれるスペクタクルにもなってました。でもこの人間が海を汚しているという要素、これって後半今ひとつ絡んでこないですよね。何かテーマ的なフリなのかなと誰もが思うと思うんですが。本当はラストで人間の意味とはとか世界を救う話をもう少し盛り上げるはずだったんでしょうかねえたぶん(^^;)

海をかたまりとして描いてるとこは凄かったですね。波が生き物というか魚と海が合体してるというか。海や波に対するまるで生き物のような動きをそのまま描いたというか、その発想も面白いし、まあディズニーか何かであるんですかね元は。わかりませんが。ただとにかく作画力と描写力は凄かったです。嵐のところもほんと凄かったです。

宗介くんは良い子でした。思いやりがあってほんと良くできた子で、しっかりしてるところもありつつ幼児らしいところを見せたりして、幅のあるいいキャラだったと思います。ポニョも最初ほとんど無意識だったのが宗介くんと絡んでいくうちに女の子になっていくというか。そして宗介くんのお母さんのリサは魅力的でした。旦那絡みで可愛らしいとこもありつつかなり激しい。車走ってるとこの背景速すぎ(^^;)というか、カーチェイスやりたくてしょうがないんだな宮崎さんという。ドリフト走行とか無理矢理入れてる感じが(^^;)でもマンガ的な動きをしてくれる車は楽しいです。最近アニメでも車っていうとCGでカッチリ動いちゃいますからね。まあ嵐の中なんで家まで帰る必要があったのかはよくわかりませんでしたがとにかくリサの激しい感じの描写は良かったと思います。

それでその後くらいからだんだん広がってきたんですけど、リサもそうですがこの映画は母性の描写がかなり目立ってるなあと。ポニョのお母さんなんかは母性の象徴くらいの勢いで、なんというか海のもつ母性と色気のある女神っぽいお母さんをくっつけちゃったみたいな。宮崎さんの描く女性は豊満な感じがしますがそれの極致みたいな感じ。

母性で面白かったのはポニョが赤ちゃんのところで感じるところ。覚醒といってもいいんですが赤ん坊と接しているうちに母性が目覚めていました。これもホントその後にもう少し何か絡んでればなあと思ったんですけども。

中盤まで、やはり嵐がおきてポニョが水面を走りまくって、家に来て宗介の真似をしながらご飯を食べるところくらいまでは勢いがあって良かったのですが、その後がかなり地味でした。ポンポン船が大きくなって乗れるとか古代魚が道路の上を泳いでるとか個人的には好きですが、ただどうにも全体として落ちついちゃってました。

正直私がかなり引っかかったのが、これ普通に大災害の話なんですよ(^^;)ごく普通に考えて街では相当の数の人が死んでる感じです。ただこの映画の中ではおそらく無名の被害者としては誰一人死んでません。死んでるけど描写をスルーしてるのか、元々ファンタジックな映画なので別に死なないですっていうことなのか、微妙でした。ボートとかでやって来た人たちの描写のテンションがマンガ的にとても明るかったので、たぶん死んでないのだと思います。

それはそれで全然構わないのですが、であるなら、冒頭のほうの人間が海を汚しているとか、ポニョ父が忌まわしき人間どもが・・・とかいうあたりとか、ちょっとちぐはぐに思いました。他にも少し前だったと思いますが、父親が漁船で嵐にあったあと、宗介もリサもまったく心配するそぶりがありませんでした。沈没しちゃったのかなあとか言ってて(^^;)正直不思議でした。宗介に関しては幼児なのでそういう実感がなかったのかも知れないし、リサは心配でたまらなかったけど宗介を心配させないために、という解釈はできますがそういう描写はなかったような(^^;)まあ車でひまわりの家にむかうところで決意めいていたのが、旦那への心配だったのか、灯台になれって言ってたようにひまわりの家やそのほか街の人々みんなに対する心配だったのか、ちょっとわからなかったです。

私の想像ですが、今回の話では災害を与えてる側がポニョ一族なので、あまり激しい災害描写に持って行けなかったんじゃないかという。父親を悪玉の役割にするのかなとちょっと思ったのですが、なりそうでならないというかむしろそうなるのを避けてた感じなので、コミカルにするしかなかったんじゃないかと。災害描写をする必要はないと思うんですが、そうなると今度はスペクタクルがなくなるという。世界を救うとかなんとかって言ってましたしね(^^;)

そして後半で最大の引っかかりのまずひとつ、ひまわりの家の竜宮城化(^^;)あれどう見てもおばあちゃんたちみんな死んでますよね(^^;)足治ってみんなはしゃいでるし、描写としては死後の世界です完全に(^^;)そしてリサがまたかなりそんな感じ。車だけが残されている場面が前にあって、しかもポニョ母と会話をしている時に可哀相だのなんだの言われている。リサどう見ても死んでます(^^;)というか、死んでなくて単にポニョ両親にああいう海底の楽しい場所に普通に招待されたんですよという場面にしては、どうもおかしかったです。天国にするつもりだったのがどうもバランスが取れずにどっちつかずにしたのかなあ。

とにかくわかりやすくこうだというのはなかったですね。宮崎さんの映画はあまり意味ありげに含みを持たすよりは明快なほうがいいと思うんですけども。たぶん母親と別れるというのも今回ひとつのテーマだったような気はするんですよね。ただどっちつかずでしたねえ。やっぱりお母さん死んじゃったらたいていのお客さんにバッドエンド映画扱いにされそうなので、それはしたくなかったんですかねえ。たぶん気持ちよく映画館出て欲しいというのは宮崎さんにはあると思うんで。

そしてもう一つの大きい引っかかり、ポニョと宗介の試練。ポニョ母が言うには、宗介がポニョを人間でも半魚人でも魚でも区別せず愛してくれれば合格ということ。これ大問題なのは、宗介は最初っからポニョが魚の状態から好きだったという前提があるんで試練でもなんでもない感じが(^^;)例えば最初に人間の女の子として出会っていて、それで実は人間じゃなくて魚に変形したりしたのを急に見せられてそれでも好きでいられる?とかならわかるんですけど。順番通り宗介くんはポニョをずっと好きだったんで特に抵抗ないですけどみたいな(^^;)しかも幼児の宗介に裏切りとか疑いとか持たせるようなことができる空気じゃないんですよね既に。人魚姫の王子様みたいに大人の結婚の選択とかでもないですしね(^^;)まあそこのところがむしろ前半から中盤の面白さだったので、あのラストの試練とかというクライマックスの持っていき方がどうにもちょっと噛み合ってない感じがしました。

そしてその試練がポニョを人間にするのを認めるだけでなく、世界を救ったらしい、というのはさらに意味不明。そういう設定であることは全然構わないのですが、それならば、しかも宮崎映画なら、そんな設定した以上そこをもっとスペクタクルで派手にラストを盛り上げれば良かったんじゃないかと。

とにかく倒すべき敵がいません。派手な自然現象を相手にしようにも、ポニョ一家が自演する以外無いし。まあちょっと難しいまとめだったのかなあ。最後にポニョが跳ね上がってキスをする場面を印象的に作るのが精一杯だったのかも(^^;)まあだから、世界救うとか言い出さないで、ポニョが人間になってずっと宗介の友達になれるかどうかだけでいいじゃないですかと思ったんですが(^^;)まあ宮崎さんとしてはスケールを大きくしないと不安なのかなあ(^^;)

ただ言いたいことは悪くないです。私も人種とか国籍とか魚類とか分け隔て無く愛することは大事だと思っていますし、母なる海が人のそれを試すというのは、現代において大事な部分だと思います。慈愛は大事です。しかし映画の流れというか盛り上げとしてはなんだかよくわかりませんでした(^^;)

とにかくそういう意味では前半から中盤の温度が高すぎたのかなあ。嵐のとこが一番凄かったんで、ラストが地味に思えたのはあると思います。ラスト近くで波に追われる宗介が手すりの上を斜め走りするのもルパンとかコナンじゃないんだから無理だろと思ったんだけど、なんかああいうのを入れないとっていう必死さを感じてしまってむしろ後半どうするか困ってたんだろうなあと思っちゃいました。でもとにかくなんとかして観客を飽きさせずに最後まで作りきろうとする気持ちは感じました。ただ盛り上がって終わったなあ感が私はほとんど無かったです。EDテロップきて、あ〜なんだこれで終わり?という感じが私はありました。

少し文句が長くなってしまいましたが、これは自分の中の引っかかりを整理するためです(^^;)最初にも書きましたけどこの映画は良かったと思います。感性で充分楽しめるので。特にポニョの可愛い描写はやっぱりうまかったですね。ハチミツ入りミルク?飲むとことか。描写でも海だけでなくて意欲的な部分はたくさんありました。

まあ、私の中では総合評価としては千と千尋の方が良かったです。個性とイマジネーションという意味では千尋のほうが凄かった感じ。宮崎さんの映画では千と千尋、魔女宅が私は好きなのですが、そこにナウシカが続いて、その後くらいかなあポニョ(^^;)

あと部分的なことですが、認知症風の老人キャラはなんでいたんですかねえ。まあ風の谷にもいるし、老人トリオは宮崎さんはわりと定番なんですけど。ただ妙に何か意味ありげだったですからね今回は。たぶん天国が何か関係あったんじゃないのかなあ。

それと本田雄さんはどこの原画を描いてたんだろう(^^;)全部宮崎さんに見えちゃってわかりません(^^;)

他には嵐の水面をポニョが走るあたりの音楽、音楽は久石さんと思いますがあそこはワーグナーだかホルストだったかなんかの曲に異常に酷似してましたが。あれは宮崎さんの指示なんですかねえ?似せてくれみたいな。

声優さんには特に問題を感じませんでした。所さんも良かったです。オフセリフだと所さんしか頭に浮かばないのがアレですけど(^^;)ただ飄々としたコミカルな雰囲気の中にちょっとした優しい感じがあって私は良かったですね。ポニョも宗介もまったく問題なし。むしろうまい(^^;)むしろリサの山口智子さんが少し棒っぽかったですか(^^;)まあ声自体はリサらしい感じで良かったです。


1週間くらい前に押井さんのスカイクロラを観てきてたので、押井さんの執拗なまでの理路整然ぶりから比べるとやっぱり180度違いますよね監督として向いてる方向が。私はやっぱり手描きの作画でデフォルメをきかせて動きまくってくれてたポニョは好感を持ってますが、やっぱり押井さんのあの構成と、とにかく色んなことをひたすら考えながら見れる感じが好きなので、しいていえばクロラの方が良かったかも。クロラも少しラストが窮屈だったんですけどもあれは最初から円が閉じてるからなあ(^^;)

いずれにしろどっちも意欲的で情熱のこもったいい映画と思います。作り手の気迫というか必死さが伝わってきますよね。決して名前だけで妥協して作った作品じゃないですし、自分にしか作れない作品を作るという意欲の凄さがありますのでやはり凄い監督です(^^;)

こちら1週間前のクロラの感想記事のリンクです(^^;)


テーマ:崖の上のポニョ - ジャンル:映画

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(2008/09/01(月) 15:20)
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